LINEN
リネンとは
リネンとは、亜麻(あま)繊維を原料とした糸、生地、製品の総称です。一方、麻とは植物に含まれている繊維の総称で、その種類は20種近くあり、リネン(亜麻:あま)の他に、ラミー(苧麻:ちょま)やヘンプ(大麻:おおあさ)、ジュート(黄麻:こうま)などがあります。麻という呼称でも原料となる植物によって繊維の性質が異なり、家庭用品品質表示法では「麻」と表記できるのは、リネンとラミーに限られています。
リネンの原料はフラックスというアマ科の植物で、通常、植物体から繊維までをフラックス(Flax)と呼び、糸や生地、製品にしたものをリネン(Linen)と呼びます。主産地はフランス北部、ベルギー、ロシア、東欧などになります。 フラックスは4月に種をまき、7~8月に収穫します。約100日間で80cm~120cmほどの草丈に成長し、茎の直径は1.5mm、梢部は分枝して先端にブルーに薄い紫を混ぜたような色の可憐な花をつけます。茎の表皮と木質部の間には繊維の束が並んでいます。一年草で連作をしないため収穫量に限りがあり、貴重な原料とされています。
リネンが作られるまで
リネンを作るには、多くの手間がかかります。
まず刈り取ったフラックスを約1ヶ月地面に寝かせ、夜露を利用して発酵させます。麻打ち機で叩き、金属でできた硬い剣山のようなブラシに束を引っ掛けて梳かすことで余分な部分を取り除きます。繊維の束を並べまっすぐ引き伸ばす作業を何度か繰り返し、その後撚りをかけて糸になり、生地や製品になります。
豊かな大地が育んだ原料と長い歴史の中で受け継がれてきた技術が、上質で繊細なリネンを作り上げています。
リネン繊維の特長
●抜群の吸水・発散性
コットンやシルクなど、他の天然繊維と比べ吸水・発散性に優れています。汗ばむ季節は汗を素早く吸い取り発散させるため、さらっとした肌触りと爽やかな涼感を与えます。
●コシの強さと耐久性
リネンの繊維は茎にしっかりと詰まっているため、コシが強く丈夫です。また濡れると強さが一層増すため、繰り返しの洗濯に対しての耐久性もあります。
●汚れが落ちやすく清潔さを保つ
繊維に含まれるペクチンには汚れを染み込みにくくする性質があるため、リネンは天然素材の中で最も汚れが落ちやすいといわれています。また、繊維自体に天然の抗菌性があり、防カビ性に優れ、雑菌の繁殖を抑制するため臭いも抑えます。
●優れた保温性と通気性
繊維の構造は中空で、天然のサーモスタットの役目を果たしてくれます。寒い季節には体温で温まった空気が体を暖かく包み込み、汗ばむ季節は上手く水分を逃がします。保温性と通気性をバランス良く保つ、通年使える万能な繊維です。
(参考:日本麻紡績協会日本麻紡績協会ホームページ)