吊練りジャカード
吊練りハンドカットジャカードに使われる乾式八丁撚糸は、昔から和装織物に使われてきた糸の一種で、その糸の撚糸手法はゴム動力模型飛行機の原理と同様です。
ゴム動力模型飛行機後方のゴムの一方を押さえて先端のプロペラを手で回し、ゴムに強力な撚りを加え、離した時の反動でプロペラを回し機体を飛ばす強い動力が生まれます。
この原理を利用し撚りをかけることで強力な反発力を持った糸を作成できます。
その糸を緯糸(よこいと)に使用し、コンピュータジャカード織機で凹凸のあるジャカード生地を織り上げます。その後、浮き糸を機械でカットし、さらに職人が手でカットすることでより繊細な柄を作り上げます。
生機に付着する不純物を取り除いて洗浄する、精練行程も手作業です。主にシルクに用いられている吊練り*をすることにより、原糸本来の自然な落ち感のある風合いを作り出しています。
現在、これらの手法ができる会社は少なく、まさに日本ならではの伝統工芸を継承する取り組みを行っている素材と言えます。
*屏風たたみした織物の耳に綿糸を通して竿や棒などに吊り下げ精練液の中に沈める手法